スタッフブログ
2014.04.06 Sun

柳騒動

今年74歳になられる池永眸さんの御爺さんは、 江戸時代の侍の子でした。 その御爺さんから 「お前は侍の子孫だ」と言われて育ったそうです。   もう40年前の話です。 当時私が勤めていた会社へ池永さんが入って来られました。 既に3人のお子さんがいらっしゃる池永さんは、清楚で上品な方でした。 普段から物静かで、地味な方でしたので、 あの時の狂乱振りには、社員一同大層驚かされました。   振り返って見れば、植物や樹木が大好きな方だったので ムリもない話です。   その当時、会社の駐車場に1本の柳の木がありました。 大型のトラックが乗り付ける度に、柳が邪魔になります。 運転手たちは、社長に 柳を切って欲しいと、度々訴えました。 社長はダメだと聞いてくれませんでしたので、 息子の専務に頼みました。 ちょうど社長が病気で入院してる折に 専務の承諾を受けて、 柳を切る事になりました。   そこへ池永眸さんが立ちはだかったのです。 クレーン車が持ちこまれ、切断という時に まるでわが子をかばう母親のような姿でした。 社員たちは、事務所から顛末を観察しています。 専務が大声で「どけ!」と叫んでいます。 池永さんは一歩も引き下がりません。 専務は「馬鹿が!」と吐き捨てるように言って 諦めました。 その日は事ないを得ました。   しかし数日して、柳は根元から切断されました。 その時の池永さんの悲しげな顔は覚えていません。 「この木で版画を作りましょう」と私は提案しました。 「版画?」 「私が新たな魂を吹き込みますから」   池永さんの女学校時代の友人の嫁ぎ先が工務店でした。 柳をクレーンでトラックに乗せて、工務店で輪切りにしてもらいました。 輪切りになった柳を私の車に乗せて、 自宅の駐車上に置きました。 私は毎日会社から帰ると 紙やすりで輪切りされた柳の表面を磨いて 平らにしました。 10個の輪切りされた柳に 10個の版画を作りました。   工務店のご夫婦は、芸術好きで 柳をただで切断してくださっただけではなく 和紙までくださいました。 いただいた和紙を礬水(どうさ)引きして 刷りあがった版画をそれぞれ1枚づつ差し上げました。   それぞれ10枚づつ位刷ったと思います。 私の家と池永さんの家と工務店のご夫婦の家に 今も残っているかも知れません。                    

カテゴリー: スタッフブログ | 投稿日: 2014月04年06日 | 投稿者: 編集

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